2015年11月11日水曜日

長野視察の報告です。

今回の佐世保市議会交通体系整備特別委員会、視察の報告書です。交通体系整備特別委員会がどのような事を協議しているか、できるだけ早めにご報告いたします。



視察報告書

平成27年11月 12日

交通体系整備特別委員会

松尾 裕幸  委員長 様

委員 北野正徳

 

〔 上田市〕

調査事項 1.北陸新幹線開業(平成9年)までの取り組みについて

市の取り組み、県・国への働きかけ 等

2.新幹線開業にあたり、上田駅周辺の再整備について

駅周辺まちづくり、県・国との関わり 等 について

 

説明及び調査

上田市においては昭和54年1月、国の新幹線整備関係閣僚会議において北陸新幹線を含む整備新幹線に関する環境影響評価指針が了承され、さらに573月北陸新幹線高崎~小松(石川県)のルート概要が発表されたのを受けて、取り組みが始まった。57年3月市議会において「高速交通網の整備について」の陳情を採択し、6月議会において「北陸新幹線の早期着工について」を決議している。

  ただその後は国鉄の分割民営化(19874月)もあり、常に議会が先頭に立って陳情要望活動が積極的に取り組んできたという事でも無いようである。民営化後の平成2年6月議会において「北陸新幹線の軽井沢以北早期実現について」を議決したものの、平成3年に長野オリンピックの平成10(1998)年開催が決まったことにより、そのオリンピックに間に合わせることになったために、早期実現等の活動は実質的に必要なくなっている。

  上田駅周辺の再開発についても、JRと一緒になって、という事ではなく、市独自にその必要性をかねてより認識し、取り組まれた経緯がある。新幹線上田駅の完成予想図においては、それは景観等への配慮もあまり考慮されない無味なものであったが、上田市の商工会議所などが発起「上田駅舎募金実行委員会」が設立され、1.5億円程の募金を得て、その全額をJRへ寄付し、「蔵風」の外壁工事を行われた。

  再開発事業は期間も長く費用も莫大となるため、懸案ではあったものの、事業実施には厳しい状況であったが、最終的には新幹線上田駅開業に押されて、あるいはそれを追い風として、実施に踏み切られたようである。昭和573月の新幹線上田駅へ移設の決定、昭和58年3月上田駅周辺整備構想策定、平成9年10月、長野新幹線開業、そして駅周辺再開発事業は平成10年3月に県の事業認可を得、また13年12月には事業計画の大幅な変更も行われている。この間バブル期を経た、激変と停滞の時期でもある。

市街地再開発は長期間にわたり、また莫大な費用を要し、大きな課題解決をしながら進められる。この上田駅周辺市街地再開発は第2種市街地再開発事業として用地買い取り方式で行われており、またこの方式でなければ実現できなかったのではないかとも思われる。再開発ビル(7階建て)の1,2,3階は元所有者に床を与えられ、4、5、6階は市の所有となり、4階を図書館などの公共施設として利用し、5、6階は民間企業に賃貸されている。ちなみに、賃貸された民間企業側からは賃料の値下げをお願いされていると言う事で、事業を完遂させるための厳しい財政事情が垣間見えるような気がする。

  交通体系整備が民間活力を醸成し、その民間活力が再開発を進める、そうしたスパイラルが築ける様、市政のレベルアップに尽くしたいと思う。
 
 

視察報告書

平成27年11月 12日

交通体系整備特別委員会

松尾 裕幸  委員長 様

委員 北野正徳

 

〔 上田市〕

調査事項 1.観光列車「ろくもんせん」について

乗車視線、列車のコンセプト、運行状況、収支状況について

2.社の経営理念や現況について

      北陸新幹線建設にあたり並行在来線が経営分離され、第3セクタ

ーとして発足した経緯。しなの鉄道活性化協議会の取り組み等。

 

説明および調査

しなの鉄道株式会社は平成8年5月1日、長野県、沿線市町、経済団体等の出資による第三セクターとして発足した。北陸新幹線の在来平行線であり、平成9年10月1日の北陸新幹線開業と同時に、軽井沢~篠ノ井間で営業運転を開始した。さらに平成27年3月14日、長野~妙高高原間を引き受け、北しなの線を開業した。全線複線で通勤通学での利用も多いが、当初は赤字営業が続いている。平成17年8月には県から1035千万ほどの累積欠損の補填を受けている。平成18年3月、開業以来の当期利益を計上し、以後は連続して利益を計上している。ただ利用者の減少は、減少から横ばいに移行しているものの、長期的には減少は止むを得ず、また収益増のための度々の運賃値上げも利用者減により、3,4年程度の増収効果にしかなっていない。生活路線以外、すなわち観光客の取り込みなどが求められる。

  そうした状況において平成26年7月、観光列車ろくもんの運転が始まった。JR九州、肥薩オレンジ鉄道などの先進事例も研究されている。ベース車両は1978年製、1.2億円かけて改修されている。利用者の8割は県外その8割は首都圏と言うお客様の構成である。JR九州が行うクーズトレイン「ななつ星」と比較するには小規模ではあるが現状は首都圏の大きな経済力に支えられている様である。

 今後佐世保市が中核市になり平戸松浦・伊万里の観光連携を計る時、MRでのこうした企画は効果的ではないかと思われる。また小規模第3セクター鉄道がこうした車両や企画を協同する事も将来的には検討課題になりうると思われる。