2017年9月30日土曜日

学校の働き方改革④

超過勤務の主たる原因が部活動にあるとの観点から、部活動について質問をいたしました。


部活動について
 部活動の指導が長時間労働のもとになっているという事になっている。

問6)
本市中学校における部活指導に従事する先生の割合、勤務状況、はどうなっているか。

教育長 回答6)
 平成28年度の集計によると、市内の教員数530名のうち367名が運動部活動の顧問であり、81名が文化部の顧問とっています。したがって、84.5%の教員が部活動を担当しているということになります。
 ここからは、運動部活動の状況になりますが、平成28年度の本市の統計では休養日の設定を週に1回としている部が70%、2週間に1日14%、3週間に1日が8%、1か月に1日が7%となっております。
 休日の活動については、定期テスト前などの特殊な場合を除き、基本的に活動を制限している学校はなく、土日の両日活動を行っている部は、全体の52%であり、「両日活動が多い」も含めると66%となります。
 したがって、中学校においては、全体の半数余りの教員が、土日も部活動勤務をしていると言えます。


問7)
部活動指導の手当て、休養日の設定など、改善への取り組みはあるか。

教育長 回答7)
 週休日等に4時間以上の勤務を行った場合に日額3000円の支給がなされており、平成30年1月からは3600円の部活動手当が支給される予定となっております。

 また、超勤改善等の対策として、平成29年度からは、週1回の「ノー部活動デー」の完全実施、毎月第3日曜日の「家庭の日」には部活動は実施しないこと。さらに、平成   33年度からは、週2回の「ノー部活動デー」の完全実施に向けて取り組み始めたところであります。教育委員会といたしましても、教職員の休養の確保と健康管理を踏まえ、実施率100%に向けて取り組んでまいります。

2017年9月29日金曜日

学校の働き方改革③

問4)
現状の先生方の勤務状態の把握で、先生方への個別指導は行われていますか。
  
教育長 回答4)
 教職員の勤務状態につきましては、先に述べた出退勤記録簿の状況並びに、年間3回、管理職による個別面談を実施しており、その中で教職員の勤務状態の実態の把握と併せて、職内容や健康状態等の管理・指導を行っております。
なお、月に100時間を超える超過勤務の状態にある教職員等、健康指導が必要な教職員については、労働安全衛生法66条の定めにより、本人からの申し出に基づいて医師の面接指導を受けることになっております。
昨年度の本市における100時間越えの状況といたしましては、小学校は5名、中学校は551名です。その内、面接指導を受けたものは0名となっております。


 長時間労働が深刻な教員の働き方改革を議論している中教審の特別部会が、学校へのタイムカードや留守電の設置、部活動の休養日の設定など、勤務時間の管理徹底を図る事を提言するとの新聞記事がありました。勤務時間管理は労働法上、校長や教育委員会に求められる責務であり、自己申告ではなく客観的に把握しなければならないとされています。

問5)
そこで私は教育委員会で各先生方の仕事状況を一元的に取りまとめ、分析し属性を調べ、対策を講じるべきと考える。例えば、学校の規模、地域、学年別、教師の年代、管理者としての校長において特徴的な事など、いかがでしょうか。

教育長 回答5)
 議員ご指摘の教育委員会で各先生方の仕事の状況を一元的に取りまとめ、分析し属性を調べ、対策を講じるべきとの議員ご指摘に関しましては、教育委員会としてもその必要性は十分認識しておりますが、新たな調査については現在考えておりません。
なお、現時点では、各校から報告を受けております出退勤記録からの分析をもって、本市の状況を把握しており、平成27年度及び28年度の状況について申し上げます。
平成27年度の本市における100時間越えの状況といたしましては、教職員1472名中、小学校はのべ0名、中学校はのべ602名となっております。その内、面接指導を受けたものは0名となっております。
男女別には、男性のべ422名、女性のべ186名。月別には、4月がのべ96名、5月がのべ100名となっており、1年間の中では、年度当初の出現数が高い状況となっております。
平成28年度の本市における100時間越えの状況といたしましては、教職員1457名中、小学校はのべ5名、中学校はのべ551名となっております。その内、面接指導を受けたものは0名となっております。
男女別には、男性のべ400名、女性のべ156名。月別には、4月がのべ104名、5月がのべ92名となっており、1年間の中では、年度当初の出現数が高い状況となっております。

 また、両年度共、小中共に大規模校に出現数が多い傾向が認められますが、学校経営の形態や学校が位置する地域性からは、特に特徴的な傾向は認められない状況となっております。

コメント
 全国的には、個人情報保護の観点から学校外への資料の持ち出しが禁止され場合もあるようです。自宅での仕事ができず、学校でしか仕事ができないとすれば、先生方にとって良くなるのかどうなのか、慎重な検討が必要であると思います。
民間企業では資本主義の自由競争のメカニズムで落ち着きどころに落ち着いていきます。例えば残業が増えれば残業代としての人件費がかさみ競争力をなくします。残業は減らす方向に働き方改革が進みます。残業賃を払わない残業、いわゆるサービス残業を強いればブラック職場となってしまい、その事で一時的に企業収益を上げてもその企業や商品・サービスのブランドイメージが既存され、また労働力の補充もできなくなり、結果働き方を改革するか、市場から淘汰されることとなります。
学校の先生方の働き方は、給特法と教師としての矜持が相まって、持ち帰り仕事が深夜にも及び、学期末などは机にうつ伏して朝を迎える事が侵すべからざる神聖な儀式のようでもあり、むしろ当事者の不満などはないのかもしれません。学校の働き方改革は、階級闘争をベースとした労使の対決では進みません。先進地においてはIT化し、グループウェアを導入し授業以外の部分を工夫したり、補助員を増やしたりの改革が進められています。中教審答申などで全国的に進み始めてから様子を見て、と言う事ではなく教育長自ら感じ、動き始めて頂きたい。

2017年9月28日木曜日

学校の働き方改革②

 「公立の義務教育諸学校等の教育職員の給与等に関する特別措置法」(給特法)では3条2項において「教育職員については、時間外勤務手当及び休日勤務手当は、支給しない」と定められており、その代わりに給料の4%を「教職調整額」として支給する様になっています。またいわゆる「超勤4項目」以外については時間外の労働を命じることはできないとなっています。4項目とは校外学習などの生徒の実習関連の業務、修学旅行などの学校行事関連業務、職員会議、そして災害時等の緊急でやむを得ない業務、となっている。
 こうした規定がありますから超勤4項目以外の時間外でやっている業務は、残業ではなく自主的な活動となります。あるいは業務のすべてを勤務時間内で収まるように割り振りをし、超勤4項目以外での残業は禁止であり、超勤4項目のような特殊性に対し、残業代ではなく教職調整額が支給されるという事です。
 残業がない、という前提ですから、残業の実態の調査もできないとも思います。
  
問2)
そこで先程の給特法の私の解釈に誤りはないか、そして現在、先生方の勤務状況をどのような方法で把握しておられるか、お尋ねします。

教育長 回答2)
 教職員の勤務につきましては、公簿としての出勤簿により、出退勤や年休、各休暇等の把握、管理を行っております。また、勤務時間につきましては、教職員各個人がパソコン内に保存している出退勤記録簿に入力し、月末に管理職が集約したのち市教育委員会へ報告することとしています。出退勤記録簿に入力対象となる勤務内容につきましては、日常の校内での勤務並びに出張や外勤、併せて放課後や土日の部活動やPTA活動、地域行事等も含まれております。


問3)
ストレスチェックが義務づけられていますが、実施の状況と結果の集約、その後の指導について、お尋ねします。

教育長 回答3)
 改正労働安全衛生法により、事業者に義務づけられましたストレスチェック制度についてご説明いたします。
 目的は、労働者自身によるストレスへのセルフケアと、事業者による職場環境の改善であり、メンタルヘルス不調者を発見することが目的ではありません。
本市では、昨年度(平成28年度)新規事業として、教職員のストレスチェック制度を実施いたしました。実施時期は、1010日~1023日までの期間に実施いたしました。昨年度の実施率は64.7%でございます。ストレスチェックの受検は労働者にとって義務ではありませんが、労働者全員が受検することが望ましいとされています。
そこで、今年度からは年に2回実施期間を設けております。このことにより、1回目の未受検者が受検をすることができますし、1回目の判定結果を確認していない者が判定結果を確認することができます。また、すでに受検した者もストレス状態は時期や業務状況によって変わりますため、再度の受検をすることが可能でございます。
実施の流れにつきましては、ストレスチェックを受検後、判定結果を確認いたします。面接指導対象者に該当する場合は、希望をすれば専門医による面接指導を受けることができるようになっております。
その面接指導の結果につきましては、医師の意見を受けて、必要に応じて就業上の措置を図ります。これが、ストレスチェックの一連の流れでございます。
昨年度の結果では、面接指導の対象となる高ストレス者の割合は、10.7%でございました。これは、契約を交わしております公立学校共済組合全体の高ストレス者割合9.7%を上回っており、本市では高ストレス者の割合が他市より高いと言えます。
また、10.7%の高ストレス者の内、面接指導を希望した者は1名であり、その希望者は最終的には面接指導を受けておりません。これは、面接指導は労働者からの希望の申し出があった時に行うとなっているためでございます。
 まずは、面接指導の希望の申し出があれば、すぐに対応できる環境整備を継続して行うことが大切だと考えております。 
また、ストレスの要因は、小学校・中学校では若干順位が異なりましたので、学校種別で報告させていただきます。
まず、小学校では、「事務的な業務量」、「対処困難な児童・生徒への対応」、「家庭やプライベートの問題」の順でございました。
中学校におきましては、「事務的な業務量」、「部活動指導」、「対処困難な児童・生徒への対応」の順に高い結果となっております。
小学校・中学校ともに、「事務的な業務量」が一番高い結果となっており、「対処困難な児童・生徒への対応」も高い順に入っております。
あくまでも、この結果につきましては、昨年度一度だけの実施結果でありますので、まだ正確なデータとしては言いづらい面もございます。
しかしながら、この結果を真摯に受け止めていく必要があります。ストレスの一因となっている事務的な業務量の見直しや、業務の効率化を図り、一部の教職員に仕事が偏らないように、管理職が各人の業務内容や勤務時間をきちんと把握することが大切だと考えております。
まだ始まったばかりの事業でありますので、今後の結果に注視しながら、労働者自身のストレスへのセルフケアと各職場におきまして職場環境の改善を検討しながら、少しでもストレスの軽減ができる働きやすい職場環境の充実に努めてまいります。

2017年9月27日水曜日

学校の働き方改革①

 近頃「働き方改革」と言う事をよく聞く。この言葉が使われ始めたのは「ホワイトカラーエグゼンプション」、いわゆる事務系の専門職など従来の労働法に保護され、規制された働き方を自由にしてはどうかと言う事からであった。その後デフレ下の景気後退の中で派遣や非正規雇用で人件費を切り詰め過度にいびつな働き方を強要するワタミや電通にみられる過労死を生み、民間経済分野ではゆとりのある働き方、仕事と生活が両立する働き方としての「働き方改革」がすすめられてきた。
 そんな時代背景の中で、民間セクターで改革が進んできたとき、公的分での「働き方」はどうなのか、と言う事になった。特に教師の勤務状況があまりにもブラックすぎるのではないかとかねてより言われてきたことが、近頃話題になっている。
 歴史的に見ても教師聖職論あり、教師労働者論あり、また教師高度専門職論あり。教育は神聖であるが故に、そこに身をささげる先生たちの、生身の人間としての労働やその対価、労働力や知識を再生産する時間的なゆとりなどについて具体的に論じることは避けてこられたように思う。

問1)
そこで、教育長にまず、教師と言う職業に対する職業観、現在の働く環境をどのようにとらえているかをお伺いします。


教育長 回答1)
教師という職業につきましては、教育基本法において、「教員は、自己の崇高な使命を深く自覚し、絶えず研究と修養に励み、その職責の遂行に努めなければならない。」と示されております。併せて、子どもたちの豊かな心や逞しい体を育成していく中で、子どもたち一人一人の生き方や考え方に大きな影響を与えるものであります。その意味を踏まえて、教師という職業に対する職業観につきましては、教師は自己の崇高な使命を深く自覚し、教育の最前線において重要な役割を担う、かけがえのない尊い職業であると考えております。
次に現在の働く環境をどのようにとらえているかということについて、お答えします。
平成25年度に本県公立小中学校教職員を対象として実施された、勤務実態調査によりますと、本県教職員の平日1日当たりの学校内での勤務時間は、小学校が10時間13分、中学校が10時間57分で、家庭への持ち帰り時間は、小学校が45分、中学校が36分でありました。また、休日の勤務時間は小学校が24分、中学校が2時間30分で、中学校は部活動の指導時間も含まれています。
 このことと併せまして、教職員の働く環境につきましては、解決困難な児童生徒に関する諸問題への対応の増加や教育課題へのニーズの広がりが認められる状況にあると捉えており、学校や教職員が負う心身の負担は高くなるとの認識を持っております。