2018年1月12日金曜日

12月議会一般質問「港とクルーズ船の費用対効果⑯」

問19
 中国からのクルーズ船の価格は4000元から5000元、日本円で68000円から85000円と言われています。近頃では2000元、ですから34000円ほどの低価格も出ているとの事です。船内での食事はフリー、また買い物などの手荷物は無制限、と言うのがクルーズ商品の主流のようです。
 この商品による中国旅行会社によるお客様の囲い込みを解きほぐし、佐世保上陸時にできるだけ少人数で自由に行動していただくと言うのが、一番佐世保市にとって良いことだと思います。
 いっそ天津上海に日系旅行会社を作る、あるいは提携するなどして、船会社と連携し、せめて全体客席の4分の1を確保し、上質な佐世保型体験観光を提案してはどうでしょうか。
 クルーズ旅行の客層や楽しみ方、嗜好は変わっていきます。即応し港への投資を回収するには、縦割りの組織で全体を俯瞰し戦略的に取り組んでいる、いわゆるグリップの効いた経営を行っているとは言い難いような気がする。今後の取り組み姿勢、体制についてお伺いする。


《川田副市長答弁》  

クルーズ船関連のビジネスモデルは、中国人観光客の消費嗜好の変化により今後も変化していくものと考えられますので、引き続きこれを注視し、柔軟かつ速やかに対応していくことが肝要であろうかと考えます。 
このための体制といたしましては、現在、わたくしをはじめとして関連部局長間でクルーズ船に係る情報や市としての認識を共有しながら取り組みを進めているところでございます。 

しかしながら、議員にご指摘いただきました庁内の連携不足という点につきましては、都市整備委員会からもご意見をいただいておりますことから、庁内においては、戦略的な視点を持ってさらに連携を深めてまいりますとともに、市議会に対しましてもクルーズ船に係る取り組みの全体像をしっかりお示しできるよう、検討を進めてまいりたいと考えております。

2018年1月10日水曜日

12月議会一般質問「港とクルーズ船の費用対効果⑮」

問18
 本市にとってお客様は誰なのでしょうか。船会社か、中国旅行会社かランドオペレーターか、あるいは旅行する人か。
 それによって営業活動も違ってくると思いますが、ポートセールス事業あるいは訪日外国人誘致事業としてどのくらいの予算が投入され、成果をどのように判断されるかをお尋ねいたします。


《観光商工部長答弁》   (18回目)

クルーズ船寄港による経済効果としては、ツアー先での乗船客の体験・買い物・食事、乗員の買い物・食事のほか、観光バス、岸壁けい船料等が考えられます。
その中でも、最大のお客様は、やはり乗船客の皆様であると考えております。 
海外における営業活動については、訪日外国人誘致事業の中で、クルーズ客船を含む観光客誘致や本市観光情報の発信などに取り組んでおり、平成28年度決算額は24,099千円となっています。 
また、ポートセールス事業のうち、クルーズ客船誘致にかかる事業費は、平成28年度決算額で2,950千円となっており、国内外の船社などを対象に、寄港地として選定してもらうため、港湾部が中心となって港のセールスを行ないました。 
昨年度は、熊本地震の影響等もあり、本市への外国人宿泊者数は減少しているなかで、クルーズ船寄港数は77回で対前年度比97.4%の増、乗船者数は約97,000人で対前年度比121.4%の増となっており、一定の成果につながったものと考えております。

2018年1月8日月曜日

12月議会一般質問「港とクルーズ船の費用対効果⑭」

問17
 旅行者が団体で動けば中国旅行会社とその系列のランドオペレーターに囲い込まれ、買い物、食事などなどいわゆる「キックバックスキーム」の商慣行に支配されますので、敢えて団体受け入れ態勢を作らない事の方が必要ではないでしょうか。農業体験が求められているでしょうか。そもそも農産物の中国国内への持ち込みはできないと思います。
 そこで提案と質問です。
今度パールシーでイタリアレストランを直営するとのことです。100席は取れるという事です。この規模の店舗であれば他にも玉屋の食堂や庄屋・牛衛門、ホテル、いろいろとあります。バス2台、100席程度の既存の商業施設を民間事業者と共に受け入れ態勢を充実させてはどうでしょう。また、コト消費であればゴルフです。バス1台40名、ゴルフなら10組、近隣5つ程のゴルフ場で対応すれば十分供給力があり、ゴルフはむしろ中国国内よりも価格は安いかもしれません。IRのカジノに先駆け佐世保競輪を楽しんでもらえば、市の財政は直接的に潤います。大型施設を新たに作るのではなく、むしろ佐世保サイズに団体を小分けにし、既存の施設を活用する事により地域経済に組み入れる事が必要ではないでしょうか。
 そう考えると、まったく九十九園跡地整備は逆行していると思うがいかがでしょうか。


《企画部長答弁》  

議員ご案内の、中国人クルーズ船観光客による所謂「爆買い」のキックバックで成り立っている現在のビジネスモデルにつきましては、船社やランドオペレーター側においても、今後は立ち行かなくなるだろうという危機感を抱いておられるように聞き及んでおります。 
 しかしながら、今後、クルーズ船観光客の自由行動が増えていくのかと申しますと、観光商工部長の答弁にもありましたとおり、船舶観光上陸許可により制度上は自由行動が可能となりましたが、寄港中の失踪のリスクもありますことから、乗客の管理が行いやすい大型バスでの周遊がまだまだ主流になるものと認識しております。 
このような状況から、ご質問をいただいておりますつくも苑跡地の観光公園につきましては、大型バスの駐車スペースを確保しつつ、「モノ消費」から「コト消費」というクルーズ観光客の新たなニーズに対応し、開放的な空間での豊かな憩いの時間や、美しい景色を見ながらの食事、観光農園における作物の収穫体験など、充実した「コト」消費の場として想定しているところです。 
これらのレストランや観光農園につきましては、近い将来年間300隻の寄港が見込まれているクルーズ船観光客の来場による収益をベースとすることで、民間事業者の資金とノウハウを生かした整備、管理運営を行うといった官民連携手法の検討を進めているところでございます。 
また、クルーズ船観光客の受け入れ先としては、つくも苑跡地のみならず、市街地へいかに誘導するかということも大変重要と考えておりますので、今後の検討作業において、その方策も含め研究を深めてまいりたいと考えております。 

観光商工部長答弁》

競輪の活用については、私からご答弁いたします。 
クルーズ船観光客の市街地への誘導につきましては、松浦公園における大型観光バス乗降場の整備やスマホ決済の導入など受入環境の整備を行うとともに、他の寄港地との差別化のできる佐世保の魅力をしっかりと届けていくことが肝要であると認識いたしております。 
なお、議員からご提案がございましたクルーズ船乗客等の佐世保競輪への取り込みにつきましては、三浦岸壁のすぐ近くに競輪場が位置し、場内における乗船客の管理も容易なことから、今後検討してまいります。

2018年1月6日土曜日

12月議会一般質問「港とクルーズ船の費用対効果⑬」

問16
俵が浦半島、九十九園跡地にたくさんのクルーズ客を一度に収容できる大型施設を作ると言う事が検討されているようだが、計画の概要とコンセプトを説明していただきたい。


《企画部長答弁》   

 俵ヶ浦半島のつくも苑跡地に計画している観光公園施設については、私の方からお答えします。 
議員ご案内のとおり、つくも苑跡地に計画中の観光公園につきましては、市として一つの大きな観光資源と捉えております俵ヶ浦半島全体の入口、いわゆるゲートウェイ機能として、クルーズ船で佐世保にいらっしゃる外国人の方や日本人を含む多くの観光客の、観光の拠点として整備することといたしております。 
この公園には、佐世保港から九十九島一帯を見渡せる「丘」を整備するとともに、良好な眺望を望みながら食事を楽しむことができるレストラン等の飲食機能に加え、観光農園といった体験施設を備えることとしております。 
これにより、つくも苑跡地の観光公園をはじめとした俵ヶ浦半島が、九十九島パールシーリゾート、九十九島動植物園に並ぶ九十九島観光の新たな拠点として機能することを企図しております。

2018年1月4日木曜日

12月議会一般質問「港とクルーズ船の費用対効果⑫」

問15
 平成27年1月1日に「船舶観光上陸許可」と言う制度になりました。これによりビザが不要になり旅行者の手続きが簡素化され、また制度上は上陸時の行動制限はなくなっています。
 しかしこれで上陸後に市内を自由に散策するようになったかと言うと、現在は逆の効果になっているようです。つまりビザが不要になったことで中国旅行社は出発ぎりぎりまで客室を埋めるための募集を行い、むしろ低価格化と囲い込みが強くなったと言う事です。
 上陸後の少人数の自由行動を増やすことが商店街や佐世保市内津々浦々に旅行者をいざなう事になると思いますが、それが可能なのか、どのような方法をお考えでしょうか。


《観光商工部長答弁》   

 船舶観光上陸許可については、法務大臣が指定するクルーズ船の外国人乗客を対象としており、ほとんどが、朝入港し夕刻には出港するという限られたクルーズ船滞在時間にあわせて入国手続きが迅速に行えるようになっております。
この制度は、あくまでも、船会社側が乗客の本人確認を行い、乗客の日本入国から出国まで責任を持つことが条件となっており、万一、乗客が指定時刻になっても船に戻らない場合などは船会社の責任が問われ、場合によっては、法務大臣の指定更新ができなくなります。
 このようなことから船会社側は、不法残留等の抑止のために、日本での行動を団体で行うことを基本としています。
 クルーズ船観光客の不法残留等の懸念が払しょくされていない現状や、寄港地観光の効率性や安心感といった観点から、クルーズ客船の団体での行動が主流である形態は一定続くものと考えております。
また、今年6月に寄港した日本発着のクルーズ船「飛鳥Ⅱ」におきましても、8割を超えるお客様は、旅行会社側が準備した安価で効率的な観光バスツアーを選択されている状況にございます。
そこで、まずは現在、クルーズ船乗船客の着地ツアーの主流となっておりますバスツアーが確実に市内を周遊し、市内での観光消費につなげていくために、手配を行うランドオペレーターに対して、他の寄港地では体験することのできない佐世保ならではのコンテンツを含めた本市の観光情報の発信や、周遊モデルコースの提案などを続けてまいりたいと考えております。
また、まちなかに位置する松浦公園の一部を大型観光バス専用乗降場として整備を予定していることから、観光バスのまちなかへの立ち寄りをランドオペレーターに働きかけて、市内への周遊促進、消費拡大に繋げてまいります。

2018年1月2日火曜日

12月議会一般質問「港とクルーズ船の費用対効果⑪」

問14
佐世保に上陸したお客様はどのように行動するか、大村市や西海市を始め30%程度は市外にも行かれている様です。市を超えた広域的な経済効果ですので、そうした事からも県の支援が有ってしかるべきではないかと思います。
さて、今年の8月1日、スカイシー・ゴールデン・エラの寄港資料をいただきました。上海佐世保往復の5泊6日、乗客1520名、乗員807名、その方々が佐世保上陸後バス35台、ワゴン車3台に分乗します。3台のワゴン車については自由行動となっています。35台のバスは6台、7台、2台、2台、1台、5台、11台、1台のグループに分かれ展海峰や水族館、オランダ村、ハウステンボスなどを周遊しながら34台はラオックスに、1台はポーセリンパークに、と大規模免税店に誘導されます。
35台中、4か町商店街に降りるのはわずか4台、1時間の予定となっています。
クルーズ船ビジネスの草創期の一時期、クルーズ船会社が直接クルーズ船事業を営んでおり、その頃には日本のJTBなどがランドオペレーションと言う日本国内の手配を行っていたという事です。それが今ではクルーズ船を中国の旅行会社がチャーターして運営する方式に変わり、ランドオペレーションは在日の中国資本経営によるものに変わっています。ラオックスも中国の会社で、その他大規模な免税店は外国資本だと思います。
先程市長のご答弁で「クルーズ船寄港による観光客、交流人口の増加、そして経済効果を市内に循環」との説明がございました。残念ながらクルーズ船客は囲い込まれ、隔離され、交流せず、循環していません。
中国の旅行会社が船会社の船を借り、中国国内で旅行者を募集し、日本の土地を使って中国のお客様を囲い込み利益を上げるというビジネスモデルが確立しています。
爆買いではないので量販店型の大規模免税店である必要はありません。むしろ旅行者にとっては町を歩きながら買い物をしたいのが本音ではないでしょうか。免税店や外貨のATMや銀レンカード、ワイファイなど設備や仕組みは整いつつあるものの、現在の中国旅行会社の囲い込み構造によるクルーズ客では、地域を潤す経済効果は乏しいように思います。このような現状をいかがお考えでしょうか。


《観光商工部長答弁》   

まず、ご質問の前段にございました長崎県からの支援についてでございますが、長崎県クルーズ振興協議会の事業として、佐世保港を含む県内各港のポートセールスを行うとともに、クルーズ船入出港時のイベント開催などの受け入れ経費についても補助が行われています。
佐世保港でのクルーズ船入出港時のイベント等に要する経費は一回あたり100千円程度となっており、平成28年度は長崎クルーズ振興協議会より約5,000千円の補助を頂きました。 

また、佐世保市に上陸したクルーズ船乗客の行動については、ランドオペレーターがツアーを企画しますが、リベートを支払う大規模免税店等への立ち寄りを中心とするバスツアーが多く、本市への経済効果としては、議員ご指摘のとおり限定的なものになっているのが現状ではないかと認識しております。

2018年1月1日月曜日

12月議会一般質問「港とクルーズ船の費用対効果⑩」

問13
 中国国内の店舗に並ぶ日本製品には当然輸入に際して関税がかけられ、その他にも消費税や物品税の類が課せられているかと思います。クルーズ客の日本の免税店での買い物には消費税は免税されますが、それを中国国内に持ち込むときに関税が免税されるかどうかは中国の政策によります。これまでは相当数の量を無税で持ち帰ることができたようです。それが2016年4月から関税が引き上げられ、しかも帰国に際し厳密に課税されるようになり、クルーズ船の経済効果の最たるものであった爆買いが終焉したともいわれるが、本市においてもそうした状況は見られるか。


《観光商工部長答弁》   

中国人観光客による電化製品等の大量購入、いわゆる「爆買い」でございますが、観光庁の「訪日外国人消費動向調査」によりますと、中国の税制改正に伴い、訪日中国人の消費性向が、電化製品等の買い物から日用品購入、飲食、観光などの体験への転換、「モノ消費」から「コト消費」への変化がみられるなど、全国的に落ち着いているとのことであります。 
本市におけるクルーズ船観光客の消費動向につきましては、当初、ラオックスなどで電気炊飯器や温水洗浄便座などの爆買いのような状況が見られましたが、現在はほぼ見られなくなりました。