2016年7月27日水曜日

文教厚生委員会視察報告 28年7月 ③


岡山県岡山市



 AAA(アクティブ・エイジレス・アドバンスト)シティ岡山

〜岡山型持続可能な社会経済モデル構築総合特区〜



  岡山市では「高齢者が、介護が必要になっても慣れた地域で安心して暮らすことができる社会の構築」を基本コンセプトに平成25年2月に総合特区としての国の指定を受けた。在宅に特化した規制緩和等を11項目、国に提案している。その中心的な考えは、例えば要介護度3でデイサービスを利用し始め、それが要介護度4、さらに施設での介護へと進む従来の状況に対し、逆に要介護度3からデイサービスの利用によって要介護度1へと改善した場合、その改善にインセンティブを与えてはどうかというものである。しかし介護保険制度自体を変えることに国はたとえ特区ということでも良しとしなかった。

  そこで岡山市はデイサービス業者の評価システムを構築し、その評価に基づき奨励金を付与することにした。「デイサービス改善インセンティブ事業」として取り組まれ、平成27年度で153事業者が参加し、72事業所が指標を達成している。市のこの事業への予算は100万円で、上位12業者へ8万円(8万円×12業者=96万円)の報奨金が支払われた。

  ただこれは介護保険制度の変更ではなく特区としなければ取り組まれなかったことではない。岡山市としては国の仕組みを変えることができない中での、漸進策であったようである。その他では先進的な介護機器が利用できること、介護のポイント制、医療法人による配食サービスなどが取り組まれている。この中でポイント制は、要介護・要支援認定を受けていた方が、状態の改善により「非該当」となった方々が対象で、岡山市の場合その数が約5,500人、そのうち登録者が30名と言うことで、これも国に対し岡山市の意向を通すことができず、対象者が極力限定される制度設計がなされたためである。医療法人による配食も、その医療機関が直営では給食を運営していることが前提となっており、実数としての利用はごくわずかこの事である。

  全体的に特区として改善したいという岡山市の思いが、国の分厚い壁に跳ね返され、特区では無くても出来る事の範囲に抑え込まれた様な感じを受けた。それでも「介護サービス質の評価先行自治体検討協議会」を全国的に組織し、平成28年10月20日には岡山市において第3回の協議会が開催され、厚生労働省への政策提言がなされている。


2016年7月26日火曜日

文教厚生委員会視察報告 28年7月 ②

大阪府堺市



   子ども食堂モデル事業について



  堺市では家庭的な環境の中で食事をする機会の少ない子どもに対して、食事と居場所を提供する「子ども食堂」をモデル的に開催する事となり、まさに視察研修の前日の7月20日、第1回目が開催されている。メニューはカレーライス、11:30~13:30の時間帯で行われ、就学前38名、小学生8名、大人33名、合計79名の参加となっている。ただ貧困家庭という意味においては、その参加者は1割にも達していないのではないのかということであった。

  本来「子ども食堂」は子どもの貧困を背景として毎食きちんと食べることができない環境を強いられている子どもに対し、家庭的な環境で食事を提供する事を目的に、あくまでも民間のボランティアとして始まったものである。行政がどの様にかかわることができるかは、多くの議論を要することである。行政では生活困窮者支援のための事業はすでに存在しており、「子ども食堂」がモデル事業の期間の後、どの様に行われるのか、ただ堺市においては中学校区に1カ所、週に1回程度の開催を目標に、本格的に事業に取り組むとのことであった。

  今回のモデル事業は総額500万円で民間団体に委託され、3カ所月1回を3クルー行うこととなっている。内訳は子ども食堂の運営に300万円、事業報告書作成に200万円となっている。全中学校区にとなれば大きな財政負担となるが、自助、共助、公助の観点からすれば、費用対効果はどうなのかとの疑問は湧いてくる。

  子ども食堂、と言う表現である事により子どもが参加しやすいということではある様だが、本来こうした活動の必要な子どもの参加が少なく、子どもの貧困問題への明快な処方箋はない。私自身この「子ども食堂」をすべく検討しているので、行政がやるべきことは、こうした形での直営ではない様にも思える。行政でしかできないこと、行政の力添えがあればより効果的にできること、そうした事を検討していきたい。

2016年7月25日月曜日

文教厚生委員会視察報告 28年7月

福井県越前市
  児童養護施設「一陽」について

  武生市(合併により越前市)直営の児童養護施設の民営化方針を受け、指定管理者指定による経営を経て、その後、児童養護施設一陽が新設され事業がスタートした。市直営においては年間8000万円の市財政の負担が生じており、それが民営化検討の契機であるが、市直営児童養護施設で働く現場スタッフが社会福祉法人を設立し、市施設の指定管理から、独自の施設開設へと発展し、完全な民間の施設となっている。

  施設はRC3階建、敷地面積1298.99㎡、床面積1353.36㎡、施設定員40名、小舎ユニット制で常勤職員32名、非常勤職員6名で運営されている。職員は保育士や児童指導、心理療法などの専門知識を学んだ資格者で、さらにマネジメント能力が日常において育まれている。給与は全てオープンにしてあり、職員の採用は現場のスタッフが行うなど現場スタッフの働き安さが随所において探求されている。職場としての健全性を向上させる仕組み、スタッフのモチベーションを高める仕組みが、この施設の特徴である。

  こうした事から一陽は単なる児童養護施設に止まらず福祉のプロ集団として越前市の福祉施策も担っている。例えば生活困窮者支援事業また子育て支援事業を市から委託され、引きこもり学習支援などの活動を行っている。中でも「ブックスタート事業」はその事業を利用しない5%程の家庭を徹底訪問し、むしろこうした家庭こそ虐待やネグレクトなどの芽があるとの考えのもと事業展開されている。

  また市内の中学生に「赤ちゃんをだっこさせる事業」を他団体と共同して行い、命の大切さ、健全な母性の涵養が図られている。たくさんの母親と赤ちゃんを集める、これも容易なことではなく、一陽の活動が先行し市の福祉子育て政策を力強く牽引しているとさえ言える様である。

2016年7月8日金曜日

今時就活事情②

 どうにか、長男長女のW就活、終了の様である。これまでの高校や大学の受験に比しても、人生の大きな山であった。悲喜交々、筆記試験はクリアできても、なかなか数回の面接を突破し続ける事は難しい。社会に出るに際し改めて自己を見つめ、仕事観、を構築する。こんなことは二度としたくない、それが世の就活生のほとんどの気持ちだろう。親としても見るに、聞くに忍びない。ただ、振り替えればこの道、経験しなければならない道であったと思える。
 例えば「軸」がなければならない。金融を受け、商社を受け、メーカーを受ける、これはどこにも落ちるパターン。なぜを繰り返し、軸を鍛錬し強固にゆるぎないものにすることで、その軸が将来を切り開いていく。なぜこの会社か、そこでどんな仕事をしたいのか、それは何故か、それを繰り返す。軸と言う志を鍛えるのである。