2016年10月21日金曜日

「農事組合法人りぞねっと」の米粉について 山形県真室川町

 山形県最上郡真室川町の「農事組合法人りぞねっと」を訪問し、代表理事齋藤孝幸氏と面談を行なった。「農事組合法人りぞねっと」は、国内産原料玄米から米粉製品をつくる一貫した製造後術と生産設備を有するコメの製粉加工メーカーである。平成18年、22年と二期に渡り総工費22,000万円をかけ施設、設備を整備しているが、その半額は国の補助によっている。


  米粉の研修を企画した意図は2018年産よりいわゆる減反政策の廃止が決定しており、今後の稲作のあり方についての展望を得たいがためである。基幹的農業従事者は200万人を切る状況となり、さらに高齢化が進んでいる。コメ生産は95%が兼業農家に支えられ、しかも高齢化の次の世代が兼業農家として米作を維持するかは、地域の現状を見ると厳しい状況である。つまり今後地域の水田が大量に作付されない状況が予想される。

 そうした農地は荒廃が進まないよう認定農業者や法人などに集約されることが必要である。集約された農地には転作作目が作付されるが、例えば大豆などの畑作作目は作業効率を高めるためにあえて水田を、勾配をつけてでも大面積の畑に改良するなどが、一部では行われている。しかし昨今の台風災害における畑地の土壌流出被害を見た時、作業効率向上の反面、国土保全の観点からの水田の機能を活かすことが重要である。

そこで今後兼業農家から吐き出されてくるかもしれない耕作放棄水田を活かすために、飼料米とともに米粉用米が必要ではないかとの考えの元、コメの大規模生産をするとともに、遊休農地の借り受けを行い、さらに米粉生産を行う「農事組合法人りぞねっと」への研修を行った。

 米を主食ご飯の米として大規模に効率的に生産すれば、価格の低下や過剰在庫の問題を引き起こす。ごはん以外の用途が必要である。

国内での穀物消費はご飯・パン・麺がそれぞれ三分の一ずつとなっている。米の消費を拡大するにはこの米の副食化やパン・麺へ用途を拡大することが必要である。つまり食の多様化への対応である。それが米粉であり、「卵・牛乳・小麦」は三大アレルゲンともなっておりグリテンフリーで、健康志向にも沿い将来的に有望である。ただ麺に加工する場合の「つなぎ」などのノウハウ。パンにする場合の日持ちの問題、さらに価格の問題と課題は多くすぐさま米を米粉にすれば問題は一気に解決すると言う事でもないようだ。今後は米粉の加工技術もさらに向上が求められる。

米粉こそ救世主、と思いつつも、現地調査を行ってみると、難しさがひしひしと伝わる。何事も一朝一夕には進まない。