2020年4月1日水曜日

財政 「平成の大合併の成果について問う」④

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http://www.sasebo-city.stream.jfit.co.jp/?tpl=play_vod&inquiry_id=1150

問4
平成の大合併を総括するにあたり、それぞれがお互いに制度を生かした整備がすすめられたと考えたいし、旧合併6町という重荷を背負わされたかのごとき受け止め方はこの際払しょくしなければと思うが、改めて市長のお考えをお伺いする。
 またこれからは合併地域ということではなく、地域経営の永遠の課題である中心部と周辺部の調和・共生という観点から行政課題に取り組んでいただきたい。つまりは周辺地域への施策の充実ということである。
 そう考えると10年15年ほど前まで有力な雇用の場であり、経済の中心である役場があった旧町はコンパクトに生活が完結するためのインフラが整った魅力的な地域です。土地も安くさほど密集していない過ごしやすい居住環境、地域共同体の繋がりは今後の地域包括ケアの仕組みの土台となり安心安全な生活環境です。市周辺部にこうした地域があることで、本市は重層的に厚みを増し、社会の安定につながります。この地域内で生活するだけなら何の不便もありませんが通勤通学大病院への移動がとても不便で、要するにコンパクトプラスネットワーク型の地域づくりにおけるネットワークの課題です。
 そこで、現状を打破する意欲的な社会実験を行っていただきたい。一例は芳井町の大渡橋・妙観寺トンネル経由皆瀬・大野行きの通勤通学バスの開設を提案したい。また、2027年西九州道の佐々までの4車線化が実現しましたら江迎町から志方線を経て佐々インターで西九州道に乗り込むバス路線、また2022年、板山トンネルが開通いたしましたなら、世知原から直接板山トンネルを通るバス路線、これが実現できたならばそれぞれの地域は佐世保市中心部から公共交通で30分ほどの時間距離となり、もはや周辺部ではなくなります。
 また広域連携で平戸市発、あるいは松浦市発で特急や急行といったバス路線が先ほどのルートを通れば本市へのアクセスを30分短縮でき、それはとても画期的なことです。これは地域公共交通という社会資本と道路網整備という社会資本が掛け算をすればできることなのでしょうが、なんと地域公共交通は国民の財産である利便性の高い道路網を活用し住民への利便性の向上にチャレンジする様子もないようです。ならば政治が動く使命であるとも思いますので、ご検討いただきたい、市長のお考えをお伺いいたします。


回答4
(市長答弁)
平成の大合併の総括でございますが、合併時に、新市として一体化するためのまちづくり計画を作成し、その計画に基づき、合併特例債など国の財政支援制度を活用しながら、旧6町内では光通信回線や地区公民館、公園などを整備したほか、旧市内でも西部クリーンセンターや中央保健福祉センターなど新市の広域を所管する既存施設の機能強化を図りました。
具体的には、計画に基づき69事業の実施について検討いたしましたところ、平成30年度末までに53事業が完了、実施中のものを含めますと61事業に着手しており、事業の着手率は約88%、事業費ベースでは約540億円の事業を実施していることから、ソフト・ハード両面において新市一体化が一定進んだものと捉えております。
なお、昨年度までに着手に至っていない8事業のうち2事業は今年度から着手しており、残りの6事業につきましては、着手に向けた準備に期間を要していることや、緊急性や費用対効果を検討した結果、他の事業を優先していることなどの理由から未着手となっているものでございます。
そのほか、小佐々町での大型工業団地整備から始まった企業誘致や、“とらふぐ”やお茶などによる戦略産品の充実、日本本土最西端の地をはじめとする観光資源の充実など、合併によるスケールメリットにより大きく進捗した事業も数多くあり、その効果を新市全体で共有できましたことは合併の大きな成果であり、それぞれの地域の方々が、新市のまちづくりに対して真剣かつ前向きに取り組まれた結果であると感じているところでございます。
「今後の合併地域においては、市の中心部と周辺部の調和・共生という観点から行政課題に取り組むべき」という議員からのご指摘は、私も全く同じように受け止めているところであり、合併地域という考えに捉われることなく、それぞれの地域の特色や実状を勘案しながら、地域に必要とされる振興策を講じてまいる考えでございます。
そのような中で、コンパクトプラスネットワーク型の地域づくりに向けた公共交通における社会実験の検討をということでございますが、議員におかれましては、令和元年9月議会においても、妙観寺トンネル、西九州自動車道など既存の交通インフラを利用した速達性に優れた公共交通についてご提案をいただいたところでございました。
一方で以前から、バス事業再編に係る住民説明会などにおいては、人口が集積する一部地域内での循環バスの提案をいただいた経緯もございました。
今回、このようなご提案をそれぞれいただいたこともあり、「地域核と都市核間の速達運行」及び「地域核内循環運行」といった新たな運行形態を効率的に検証するといった観点から、相浦地区をモデルとして、この二つの運行を組み合わせた路線を想定し、バス事業者への運行委託による社会実験を新年度予算に計上したところでございます。
これは令和2年10月から令和3年3月までを実験期間とし、通勤・通学を除いた、買い物や通院などのお出かけ支援を目的として、午前10時頃から午後4時頃までの1日4往復程度の運行を想定いたしております。
なお、西九州自動車道を運行する場合には、運行に関して一定の制限があるため、バス事業者と調整しながら路線の設定を行うこととなりますが、この実験を通じて、利用状況や路線の有効性などを検証してまいりたいと考えております。
この社会実験の検証結果を参考として、他の地域への社会実験の拡大、延いては本格運行の可能性なども視野に入れながら、議員ご質問のコンパクトプラスネットワーク型の地域づくりに向け、持続可能な公共交通と交通インフラの活用方策について取り組みを進めてまいる所存でございます。