2015年10月23日金曜日

公民館等の施設利用料の値上げについて 9月一般質問から⑤


 執行部は、本来自治体会計にはない減価償却費を持ち出して、公共施設の利用料値上げを主張するのではあるが、議論がもまれていない分、腰が定まらない。減価償却費として投資額を回収するといってみたり、世代間の負担を公平にするといってみたり、また受益者負担と言ったりもする。それぞれに意味は違う。減価償却費を持ち出して公共施設の利用料でもって投資額を回収するのであれば、もはや公共施設ではない。公共施設であればその様な計算は成り立たない。また世代間の負担の公平性と言うのであれば、減価償却費では無く借り入れ(起債)の返済がそれにあたるのではないか。受益者負担ということであれば、例えば公民館を利用し社会活動が営まれる、その受益者は国民、と言う事になるのではないか。学ぶこと、知ることが自由で民主的な政治体制を支えるというのが根本の思想にあるのであるから。

一般質問に際して事前に財務部の担当者と打ち合わせをするのだが、なかなか議論が噛み合わない。そこで、同じ単式簿記の構造から自治体会計はよく家計に例えられるので、家計によるマイホーム取得として話をしてみた。



例えば親世帯子供世帯が協力して2世帯住宅を建てるとする。3000万円、金利2%、30年償還とすれば年間133万円の30年均等償還になる。そうなれば、やがて親世代は引退し、子供世帯だけが負担することも予想され、ならばこの計画は止めようと言う事になるかもしれない。今であれば建てるか建てないか、自己責任で考えることがでる。


ただ一般的には自己資金を用意する。親世帯が1000万円、子供世代が500万円、合計1500万円が自己資金、残り1500万円を先ほどと条件を同じく金利2%、30年償還の借入、とする。すると年間の支払は66万円、30年間、これなら将来的にも子供世帯で負担できるなと言う事にもなり、計画は進められることになる。



公共施設は自治体の自己資金と補助金と借入金で建設される。このうち借入金は、国の国債発行残高が1000兆円超えた、次の世代への負担の先送りなどとよく言われるように、次の世代が借金を返済することで負担する、と言う事はあり得るし、現実にそうなっている。


先ほどの家計においても自己資金と借入金で世代間の負担を調整し、マイホームと言う資産を活かし、平穏で文化的な生活が享受される。負担がどちらかに偏れば、この計画はとん挫してしまう。この収入支出の家計において、建物の減価償却費と言う概念は必要ないし、意味を持たない。係るのは固定資産税の納付と資産売却の折の譲渡益への課税くらいである。


減価償却費により資産の建設コストを回収すると言うのは、この年額66万円償還しながら、この家と言う資産が有効活用され家族の幸せの器になっているものに、木造建築の耐用年数24年、定額、償却年間125万円、これで投資額を回収すると言うことを押し込むと言う事になるのだが、果たしてそこに何の意味があるということになるかである。

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