2016年11月29日火曜日

減反廃止後の本市農政のあり方について 9月一般質問2問目

9月一般質問 インターネット中継
http://www.sasebo-city.stream.jfit.co.jp/?tpl=play_vod&inquiry_id=829

 「コメ減反、2018年廃止へ」、何となく衝撃的なタイトルですが、近頃よく目にするようになりました。正確には、これまで国が生産目標数量を設定し、これを各都道府県に配分する形で主食用米の過剰生産を抑制していたのをやめ、2018年産から行政による生産目標配分に頼らずとも、円滑に需要に応じた生産が行われるようにする、と言う事です。もっとも昨年産米は減反計画を超過して達成していますので、作りたくても作れない、そう言った減反に対する農家の反発はかつての様にはありません。



基幹的農業従事者の数はいよいよ200万人を切る状況になり、49歳以下の新規就農者が年間21,900人ほど加わるものの、その平均年齢は70歳へ向かって、上昇している状況です。



コメはどちらかと言えば手のかからない作物として95%は兼業農家で生産されています。また経済合理主義よりもむしろ主食確保・食料自給に対する国・行政の責任の観点から議論されてきました。さらには国土保全における洪水防止機能は年間3兆4988億円とも言われていますし、家の周り、地域の農地を荒らすわけにはいかないと言う、勤勉な美徳に支えられる部分も多くあります。



こうした一般的な産業政策にはない独特の視点も、農政を語る上では大変重要な事ではありますが、一つの産業として、稼ぐ農業、稼げる作目で稼ぎ、経済的に自立する、要するに持続可能な農業をどのように作っていくかと言う事を、冷静に具体的に考えていく、減反廃止はその契機ではないかとも思います。

問1)

そこで、1つ目の質問です。

まずは、本市農業振興策の基本的な考え方や施策、稼ぐ農業につながる具体的な事業などについて、お尋ねをいたします。



回答


コメント)

より刺激的な言葉でいえば地域農業のリストラ、です。リストラとは何でもかんでも切って捨てればいい、と言うのではなく、正確にはリストラクチャリング、再構築、という意味であります。その手法は、まずは選択と集中、すなわち稼げないものは捨てて、稼げるものに集中するという事です。次には人材の流動化です。

只今ご説明いただいた一億農産物振興事業、選択と集中という意味においては、大変有用な政策であると思います。


問2)

ただ今のご答弁の「一億農産物振興事業」について、お尋ねをいたします。当該事業の目標は、現在の販売額の120%ということですが、例えばこの中にアスパラガスがあります。近隣の松浦市においてはJR九州系の法人農業による大規模栽培も始まっています。具体的にどのような施策かご説明をお願いします。アスパラに関して、具体的にどのような施策で、現状を将来どうしたいのか、ご説明下さい。


回答



コメント)

 国策としての農政に対し、自治体で行う農政を自治体農政、とも表現します。この自治体農政は予算の制約もあり十分にまた画期的に何かができる、と言うものではないかと思います。そこで先ほど述べましたように国のメニューを生かし、少ない自己資本で大きく事業に取り組むことが必要です。

また地域間連携により近隣自治体と力を合わせて産地形成等を進める事により、さらに大きな産地形成、ブランド力のアップを行う事が必要になります。


問3)

そこで本市が、中核市・連携中枢都市として県北地域の農業振興をけん引することも必要になるかと思いますが、近隣市町との広域連携の必要性と支援のあり方について、どのような考えか、お尋ねします。


回答


コメント)

すでに、広域連携の取り組みをなされているとのことですが、県北地域の農業振興をけん引すべき本市としては、近隣市町の状況をしっかり把握し、足並みを揃えてご支援いただきたいと考えます。

ある市ではアスパラの選果機導入5,000万の事業費を国の産地パワーアップ事業で半額を調達し、残額の28%をふるさと納税の益金で賄い、残りを農協が負担し、農協はそれを、生産者から利用料で回収する、そのような具体的な事業に着手しています。表現を替えれば、市の700万円の負担が、生産者:及びその団体、いわゆる民間活力の1800万円引き出し、残り2500万円の国の助成を獲得し、5000万の選果機を導入し、1億円の産地が形成される、と言うことです。

こうした「ふるさと納税」を活用しての農水産業の産地形成、そろそろ考えるべきではないでしょうか。(ここは提言としておきます。)



問4)

稼げる作目への選択と集中、として質疑を交わしましたが、次には人材力の問題です。良くリストラを労働者の配置転換や退職勧奨と受け止められますが、要するに生産性のない働く場から生産性の高い働く場へ、人材力をどう移動させるかの問題です。

冒頭農業従事者の高齢化と減少、新規就農者についてお話しましたが、例えばトヨタ自動車は26兆円の売上高を連結従業員343,872人で支えています。対して産業としての日本の農業は、生産額が約8兆円、農業従事者は200万人ほどです。農産物の消費高が画期的に増えることはありませんので、一人当たりの収入を増やすには、トータルとしての農業従事者は減るが、稼ぐ農業者は増える、という構図にならなければなりません。

そこで稼ぐ、プロの農業者を育成しなければなりません。



 その前段として、新規就農者など担い手育成に、どのような対策を実施していかれますか、ご説明をお願いします。


回答


コメント)

本市における農業就業人口の60歳以上の方々が占める割合は、78.6%です。国や県の割合よりも大きい状況ですが、全国的にみても兼業農家の高齢化が限界点に達しており、大量の引退が始まります。

兼業農家が兼業農家として勤めながら跡を継いでいくという事例も随分と減ってきました。地域生活の身近でそうした現状を感じます。ですから兼業農家から離れて行く良質な生産基盤はプロの農業者に引き継いでいただかなければなりませんが、手のかからない、作りやすい米で兼業農家を維持し、その兼業農家が幅広く底辺を支えることで保全されていた地域農業、農道や水路などがあることも現実です。  


問5)

今後地域の生活インフラとも重なるこうした農道や水路、水資源、景観、地域農業をどのように維持されるのか心配ですが、いかがお考えでしょうか。


回答


コメント)

飼料米が、今とても地域に役立っています。10aに8万円程の補助があり、従来のコメ作りよりも更に手はかかりません。農家はほどほどの管理ですみ、畜産農家との連携することにより、水田の荒廃が食い止められています。選択と集中で稼げる作目への転換を進めるために、複数の水田に勾配をつけながらでも一枚の畑にし、作業効率を高めるという事が進められている事例もありますが、今般の北海道への台風襲来の後の土壌流出した畑を見てみますと、当該地域における国土保全にはやはり水田が必要であると思います。「飼料米がなかったら、田はあれとったね」そんなこともよく聞きます。中核的な畜産農家が地域にあれば、こうした連携で地域の農地の荒廃が防げます。

高齢農業者が引退し、それとともに良質な農地が、新規就農や認定農業者、法人農業へ集約され、彼らを中核として、減少しつつも兼業農家も含めた地域営農組織が地域を支える、そうした将来像が進むべき方向であると思います。極端な農業改革ではなく、ある程度の時間軸で世代交代と農地集約を行いソフトランディングさせる、そういう農業改革であるべきと思います。


問7)

農業政策については、国の役割、自治体の役割がそれぞれあるものと思います。このことを踏まえて、

最後に、市長の農政に関する考えをお聞きいたします。

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