2016年12月19日月曜日

畜産の振興について 12月一般質問②

インターネット放送もご視聴いただけます。


 ここにJAの広報誌のコピーがあります。平戸口中央家畜市場運営協議会による購買者誘致活動として神戸、愛知、静岡を市長そしてJAの田淵組合長が訪問されたという記事です。ここには牛肉の消費増、輸出増の状況、そして今後10年は大幅な価格下落はないという見通しが示され、産地として増頭して欲しいとの要望がなされたとされています。
 これはまさに市長の生産者への施政方針の表れであり、それはまた政策として実行されなければなりません。

本市農業、特に畜産業に関してその振興に係るのは「6款農林水産業費2項畜産業費2目畜産振興費そして細目農業生産基盤整備事業」となるかと思います。

本年度予算は、農林業生産基盤整備事業において前年度予算153百万円より1000万円減少し143百万円となっています。その内訳は家畜導入促進事業費が1500万円から1000万円へ500万減額され、前年114頭の導入実績に対し本年度70頭の予算措置であります。
また、畜産施設・機械等整備事業費が前年度予算617万に対し150万と約5百万の減額です。何故に今これらの事業がかくも無残に萎まなければならないのでしょうか。

問1
 この事は表面的には、本市における畜産政策が先細っているように感じますが、予算減の理由をお聞かせください。

回答 

コメント
 まず家畜導入事業について。
生産者は希望を出して抽選で対象者が決められている。現場においては希望者の声も多く聞きく。生産現場において需要が減退しているのではなく、市の方針として予算が減らされた、と言う事ではないのでしょうか。
 また簡易牛舎の建設においては、昔ながらの農家に付随した納屋での1、2頭飼いから、施設や機械の近代化を行い、プロの畜産経営へ政策誘導する事業であり、需要調査に基づいて減少と言うのは、まさに失政と言うべきことではないでしょうか。その点は後程、議論を深めたいと思います。

 その前に、畜産に対する理解を深めていただくために、しばし話をさせて頂きます。
 牛という商品。
肉用牛経営―繁殖牛経営、肥育牛経営
・雌牛誕生―15月→母牛:交配(種付け)→290日:出産―8月→出荷:競り市
 この母牛に子供を産ませ市場に出荷するまでが繁殖牛経営です。
・この月例8~10月の280,290キロほどの牛を2年程で700キロほどに肥育して食肉市場に出すまでが肥育牛経営となります。
 雌牛が誕生して、子供が生まれ、その牛が成牛となり肉となって食卓に並ぶまでに5年ほどかかります。

 本市の肉用牛経営概況によりますと平成27年度で
・繁殖牛経営が294戸、で2,106頭出荷し、14億5910万円の販売高
・肥育牛経営が21戸、1,177頭出荷し、102730万円の販売となっている。
 合わせて25億ほど販売高というのが、本市の肉用牛経営であります。
 産業として大きいのか、そうでもないのか、いかがお考えでしょうか。それを判断するためにはいくつかの物差し、尺度が必要である。
 そのためにもう少し、肉用牛経営についての理解を深めて頂きたい。時間の都合で繁殖牛経営の事例でお話します。
・平成14年の調査によると市場に出され販売される子牛の原価は425,000円となっています。その内訳は労賃が20万円、飼料が108,700円、他母牛や建物機械設備の償却、家畜診療・共済保険となっています。この原価構成では425千円の価格でも6割以上は手元に残る金額になります。それが現在70万から80万に及ぶ金額になっています。肥育牛経営はまた構造が違ってきますが、こうした原価計算から先ほどの販売額25億を考えますと、その内20億が、生産農家を始め地域に還流する金額になります。

 例えば小佐々の新しい工業団地に誘致された企業を考えてみます。非上場会社という事で売り上げなどは分かりませんが、おそらく材料や半加工品を県外から仕入れて加工あるいは組み立て県外へ出荷する形だと思いますが、純然とこの地域に落ちるお金、還流するお金は働く人たちの給料という事ではないかと思います。企業立地局のお話では最大200名の雇用が予定されている、とのことであります。働く方々の平均年収を500万円としたとき200人で10億になります。
 この工業団地を作る費用は28億2900万円、土地の販売額が14億3500万円、その残りの内、県の補助を得て、市の負担は6億3000万円とのことでありました。一定の雇用の場を作り所得が得られ地域が潤うためには、投資が必要です。この工業団地が全部販売され、企業誘致が達成された時、この工業団地で働く人たちの給与総額が20億くらいになるのでしょうか。市が6億3000万投資することによって、それが実現されます。

 肉用牛経営もまた20億以上を地域に循環させる産業です。さらに肉用牛経営がこの地域にあることによって、94億4367万円を取り扱う食肉市場があり、そこには100名を超える方々が勤められています。過去においては平成24年に開催されました「第10回全国和牛能力共進会長崎大会」においては、本市への来客者数414,000人、経済効果約90億円とも報告されています。

 ここに日本経済新聞九州版本年10月21日の記事があります。JR九州の唐池会長の話。「農業の1億円は流通の100億円に相当する」
 農業と言うのは実はとても経済波及効果の大きい、すそ野が広い、産業であると言う事であります。

 また公共工事や福祉政策、いわゆる自助・共助・公助の観点から考えてみます。たとえば農村が疲弊し水資源を涵養する機能が失われたらどうでしょうか。耕作放棄地が身近に迫れば、猪が中心部でさえ徘徊し生活が危険に脅かされます。こうした事への対策を土木事業や安全対策で行おうとすれば、莫大な費用が掛かります。限界集落化し高齢者が孤立すれば、それを福祉行政でカバーしなければなりませんが、これまた大きな費用が掛かります。つまり公共工事や社会福祉などの公助で支えることには莫大な費用が掛かり、一方、農業は自助のシステムの根幹をなすものなのであります。その農業の中でも畜産業があることにより循環のシステムが成立します。

 この畜産業が今、この地域において、産業として自立しようとしている最中ではないかと思います。先般私どもの会派「緑政クラブ」で山形へ行政視察に行ってまいりましたが、その際「新規就農も含めて若い人たちが10頭20頭と牛飼いを始めている」という話がありました。有名ブランド「米沢牛」の地元であります。

その大事な農業とその根幹を支える畜産業に対して、どのような政策があるか、どの程度の予算があるのか、そこが今日のテーマであります。

この農業生産基盤整備事業、27年度予算153百万円、大きな金額の様ではありますが、その内訳の大きなものは構成する再細目「肥育素牛導入預託事業」の13000万円であります。これは13000万円が預託される、すなわち決算において13000万円返済され、年度の当初に13000万円預託されるという事で、企業会計でいえば使われた金額ではなく、預けられた金額、損益計算書には関係のない貸借対照表上の科目の違いです。市の財産が減少したわけではありません。また920万円は宇久町との合併以来宇久町から引き継がれた肉用牛振興基金からの繰り入れであります。

問2
それを差し引くと1380万円、これが市の自主財源から支出する中身です。大きな産業を維持発展させる投資として、あまりにも少なくはないでしょうか。
 また、この振興基金はいよいよ底をつき、28年度予算でこれまでの半分以下の4,232,000円の繰り入れ、そして残高が87,661円となっています。
現在来年度の予算が検討されているかと思いますが、枯渇した振興基金の今後はどうなり、繰り入れることによって成り立っていた農業生産基盤整備事業はどうなるのでしょうか。お尋ねをいたします。

回答

コメント
ぜひ、ふるさと納税:ふるさと元気基金から繰り入れる位の振興策を講じて頂きたいと思います。
前回の「減反廃止後の本市農政の在り方」とのテーマで一般質問を行い、少ない予算で行う自治体農政は国・県の事業の利用により、少ない予算で大きな事業に取り組むことが重要であると意見を述べさせていただきました。
 奇しくも今般補正予算で国の畜産クラスター事業での議案が提出をなされています。所定の委員会での慎重審議が待たれますので、ここでは多くを申しませんが5800万円の事業です。国が23165千円、県が3823千円、合計26988千円、そこに市の負担3448千円が加わります。市の3448千円が5800万円の事業となり50頭の牛が増えます。

問3
クラスター事業をどのように本市畜産振興に取り込むかがポイントかなと思いますが、本市としてクラスター事業をどのようにとらえ、また事業の将来性、本市がどのように活用できるかの見込、をお尋ねします。

回答

問4
同様に県の畜産振興のためのパワーアップ事業があると思いますが、その制度概要そして取り組み、についてご説明をお願いします。

コメント
日本の農業生産額は約8兆円、基幹的農業従事者は200万人、一方、トヨタ自動車は26兆円の売上高を連結従業員343,872人で支えています。今農業は、農業従事者がプロの農業者へ集約されていく過程、稼ぐ農業へ向かって再構築されつつあります。
本市肉用牛経営においてもこの3年間で、1-2頭飼いが23%減、39頭飼いが15%減、10-14頭飼いで10%減、15-19頭飼いは40%増加です。その傾向が表れています。
ながさき県北畜産クラスター協議会の現状と目標という資料があります。26年度の現状に対し、目標年度32年、飼養農家戸数は49戸減少、しかし飼養頭数は74頭増えて、2900頭にする。ぜひこの目標に向かって具体的なロードマップを作って頂きたい、先ほどの説明では本年度1件、31年度に2件と言う計画です。県のパワーアップ事業については 年度に  件です。
どちらかと言うと1、2頭飼いの畜産農家を対象とした市単独の導入事業が縮小されるのは十分理解できますが、それには多頭飼育農家の育成策と連動しなければ意味がありません。クラスター候補農家やパワーアップ候補農家をピックアップし、生産者団体と連携して年度にそれぞれに複数件実現できるよう、計画的に進めなければと考えます。

問5

 最後に畜産振興への市長のお考えをお聞きいたします。

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