2016年11月29日火曜日

減反廃止後の本市農政のあり方について 9月一般質問2問目

9月一般質問 インターネット中継
http://www.sasebo-city.stream.jfit.co.jp/?tpl=play_vod&inquiry_id=829

 「コメ減反、2018年廃止へ」、何となく衝撃的なタイトルですが、近頃よく目にするようになりました。正確には、これまで国が生産目標数量を設定し、これを各都道府県に配分する形で主食用米の過剰生産を抑制していたのをやめ、2018年産から行政による生産目標配分に頼らずとも、円滑に需要に応じた生産が行われるようにする、と言う事です。もっとも昨年産米は減反計画を超過して達成していますので、作りたくても作れない、そう言った減反に対する農家の反発はかつての様にはありません。



基幹的農業従事者の数はいよいよ200万人を切る状況になり、49歳以下の新規就農者が年間21,900人ほど加わるものの、その平均年齢は70歳へ向かって、上昇している状況です。



コメはどちらかと言えば手のかからない作物として95%は兼業農家で生産されています。また経済合理主義よりもむしろ主食確保・食料自給に対する国・行政の責任の観点から議論されてきました。さらには国土保全における洪水防止機能は年間3兆4988億円とも言われていますし、家の周り、地域の農地を荒らすわけにはいかないと言う、勤勉な美徳に支えられる部分も多くあります。



こうした一般的な産業政策にはない独特の視点も、農政を語る上では大変重要な事ではありますが、一つの産業として、稼ぐ農業、稼げる作目で稼ぎ、経済的に自立する、要するに持続可能な農業をどのように作っていくかと言う事を、冷静に具体的に考えていく、減反廃止はその契機ではないかとも思います。

問1)

そこで、1つ目の質問です。

まずは、本市農業振興策の基本的な考え方や施策、稼ぐ農業につながる具体的な事業などについて、お尋ねをいたします。



回答


コメント)

より刺激的な言葉でいえば地域農業のリストラ、です。リストラとは何でもかんでも切って捨てればいい、と言うのではなく、正確にはリストラクチャリング、再構築、という意味であります。その手法は、まずは選択と集中、すなわち稼げないものは捨てて、稼げるものに集中するという事です。次には人材の流動化です。

只今ご説明いただいた一億農産物振興事業、選択と集中という意味においては、大変有用な政策であると思います。


問2)

ただ今のご答弁の「一億農産物振興事業」について、お尋ねをいたします。当該事業の目標は、現在の販売額の120%ということですが、例えばこの中にアスパラガスがあります。近隣の松浦市においてはJR九州系の法人農業による大規模栽培も始まっています。具体的にどのような施策かご説明をお願いします。アスパラに関して、具体的にどのような施策で、現状を将来どうしたいのか、ご説明下さい。


回答



コメント)

 国策としての農政に対し、自治体で行う農政を自治体農政、とも表現します。この自治体農政は予算の制約もあり十分にまた画期的に何かができる、と言うものではないかと思います。そこで先ほど述べましたように国のメニューを生かし、少ない自己資本で大きく事業に取り組むことが必要です。

また地域間連携により近隣自治体と力を合わせて産地形成等を進める事により、さらに大きな産地形成、ブランド力のアップを行う事が必要になります。


問3)

そこで本市が、中核市・連携中枢都市として県北地域の農業振興をけん引することも必要になるかと思いますが、近隣市町との広域連携の必要性と支援のあり方について、どのような考えか、お尋ねします。


回答


コメント)

すでに、広域連携の取り組みをなされているとのことですが、県北地域の農業振興をけん引すべき本市としては、近隣市町の状況をしっかり把握し、足並みを揃えてご支援いただきたいと考えます。

ある市ではアスパラの選果機導入5,000万の事業費を国の産地パワーアップ事業で半額を調達し、残額の28%をふるさと納税の益金で賄い、残りを農協が負担し、農協はそれを、生産者から利用料で回収する、そのような具体的な事業に着手しています。表現を替えれば、市の700万円の負担が、生産者:及びその団体、いわゆる民間活力の1800万円引き出し、残り2500万円の国の助成を獲得し、5000万の選果機を導入し、1億円の産地が形成される、と言うことです。

こうした「ふるさと納税」を活用しての農水産業の産地形成、そろそろ考えるべきではないでしょうか。(ここは提言としておきます。)



問4)

稼げる作目への選択と集中、として質疑を交わしましたが、次には人材力の問題です。良くリストラを労働者の配置転換や退職勧奨と受け止められますが、要するに生産性のない働く場から生産性の高い働く場へ、人材力をどう移動させるかの問題です。

冒頭農業従事者の高齢化と減少、新規就農者についてお話しましたが、例えばトヨタ自動車は26兆円の売上高を連結従業員343,872人で支えています。対して産業としての日本の農業は、生産額が約8兆円、農業従事者は200万人ほどです。農産物の消費高が画期的に増えることはありませんので、一人当たりの収入を増やすには、トータルとしての農業従事者は減るが、稼ぐ農業者は増える、という構図にならなければなりません。

そこで稼ぐ、プロの農業者を育成しなければなりません。



 その前段として、新規就農者など担い手育成に、どのような対策を実施していかれますか、ご説明をお願いします。


回答


コメント)

本市における農業就業人口の60歳以上の方々が占める割合は、78.6%です。国や県の割合よりも大きい状況ですが、全国的にみても兼業農家の高齢化が限界点に達しており、大量の引退が始まります。

兼業農家が兼業農家として勤めながら跡を継いでいくという事例も随分と減ってきました。地域生活の身近でそうした現状を感じます。ですから兼業農家から離れて行く良質な生産基盤はプロの農業者に引き継いでいただかなければなりませんが、手のかからない、作りやすい米で兼業農家を維持し、その兼業農家が幅広く底辺を支えることで保全されていた地域農業、農道や水路などがあることも現実です。  


問5)

今後地域の生活インフラとも重なるこうした農道や水路、水資源、景観、地域農業をどのように維持されるのか心配ですが、いかがお考えでしょうか。


回答


コメント)

飼料米が、今とても地域に役立っています。10aに8万円程の補助があり、従来のコメ作りよりも更に手はかかりません。農家はほどほどの管理ですみ、畜産農家との連携することにより、水田の荒廃が食い止められています。選択と集中で稼げる作目への転換を進めるために、複数の水田に勾配をつけながらでも一枚の畑にし、作業効率を高めるという事が進められている事例もありますが、今般の北海道への台風襲来の後の土壌流出した畑を見てみますと、当該地域における国土保全にはやはり水田が必要であると思います。「飼料米がなかったら、田はあれとったね」そんなこともよく聞きます。中核的な畜産農家が地域にあれば、こうした連携で地域の農地の荒廃が防げます。

高齢農業者が引退し、それとともに良質な農地が、新規就農や認定農業者、法人農業へ集約され、彼らを中核として、減少しつつも兼業農家も含めた地域営農組織が地域を支える、そうした将来像が進むべき方向であると思います。極端な農業改革ではなく、ある程度の時間軸で世代交代と農地集約を行いソフトランディングさせる、そういう農業改革であるべきと思います。


問7)

農業政策については、国の役割、自治体の役割がそれぞれあるものと思います。このことを踏まえて、

最後に、市長の農政に関する考えをお聞きいたします。

2016年11月24日木曜日

「防災危機管理局の防災危機管理意識について問う」 9月議会一般質問


インターネット放送


 9月1日、総合防災訓練が大規模に開催をされました。防災体制の強化と市民の防災意識の高揚が開催目的となっておりますが、訓練を終え、どのような総括がなされるのでしょうか。

 今般の防災訓練には最新鋭機であるオスプレイも投入されました。危機管理の究極は安全保障であると思いますが、本市は自衛隊、そして米軍の基地を有する、日本の安全保障を支える町であります。そして本市の安心安全を担当するのが、防災危機管理局であります。

 さる8月5日、午前9時30分ごろ、小佐々町・世知原町・吉井町・江迎町・鹿町町・宇久町で「国民保護情報の訓練放送」が誤って放送されました。これまでに聞いたこともないようなサイレン音が吹鳴され、またこれまでに聞いたことのないような放送内容であったことから、私にも何件か電話での問い合わせがございました。私はその時「議会課題検討会」による、ペーパーレス会議の研修のため、数名の議員とともに鹿児島に向かう新幹線の中にありました。

 「ゲリラ攻撃発生とかの防災放送があったけど、何、それ」

そんな問い合わせに、私自身すぐに理解できず、防災危機管理局へ電話で問い合わせをし、またメールでことの仔細を伝えて頂く旨お願いした次第でありました。

かつて連合艦隊司令長官 東郷平八郎は、日露戦争から凱旋し、その総力戦としての連合艦隊の任務を解き平時編成に戻す連合艦隊解散式において、居並ぶ将兵に対し訓示を行いました。これはその後「連合艦隊解散の辞」と呼ばれ、世界の指導者が座右に置きまた将兵の指導書になったともいわれています。そこにこんな行があります。

「百発百中の砲は、一門よく百発一中、いうなれば百発打っても一発しか当らないような砲百門と対抗することができるのであって、この理に気づくなら、われわれ軍人は無形の実力の充実、即ち訓練に主点を置かなければならない」と述べ、平素の鍛練の重要性を訴えるとともに、「勝って兜の緒を締めよ」と、締めくくりました。訓練と平素の鍛練、そして危機意識・心構えが、肝要であると言う事です。

 私は、平常時に訓練放送が誤って放送された事は、非常時に緊急放送が誤って放送されない事と同じでは無いかとの危機意識を持ちました。そして私の一連の問い合わせに対する回答に危機意識を感じることが出来ませんでした。またこれは一担当職員のミスではなく、トラブルが発生した時、それを修正する組織的行動がないのではないか、そう感じました。そうした観点から、質問を行います。



問1)   まず、誤放送の内容と経緯についてご説明をお願いします。



問2)   Jアラートの緊急点検の依頼に対し、どのような体制で臨まれたかをお尋ねいたします。



問3)   誤放送後の対応についてお尋ねをいたします。

・誤放送が発生したことをどのような経緯で知ったのか。

・誤放送である旨の支所への連絡はどのように行ったのか。

・各支所住民からの問い合わせ件数、内容がどうであったかの調査を行ったか。



問4)   誤放送をした者が、誤放送の影響を判断し、その後の対応を行ったのではないですか。
危機を招いたものが、危機の度合いを判断するという事は、危機管理上適切でしょうか。



問5)   そもそもJアラートと防災行政無線の関係はどのようになっているかをお尋ねいたします。
 防災行政無線の管理・運用については「佐世保市防災行政無線管理運用規程」しかありません。
その中で放送の種類を「緊急放送」『普通放送』「試験放送」と制限列挙しています。
Jアラートについての記述はありませんが、Jアラートは緊急放送、すなわち非常災害時の緊急時に行う放送の一つとして考えるべきだと思われます。
この運用規程には緊急放送は消防局指令課が行うとされていますが、消防局指令課はこの点検にどのように関わりましたか。
 また平成28年2月17日付の「平成27年度国民保護計画修正(案)新旧対照表」によりますと、警報の内容の伝達方法の規定があります。ここに唯一Jアラートと防災行政無線とのかかわりがあります。担当部局は防災危機管理局となっています。

 自動起動ではあっても地方自治でありますので、地方自治体の防災行政無線で放送する以上は、地方自治体の権限と責任において位置づけをしなければならないのではないでしょうか。Jアラートが自動起動したならば、間違いなく放送が各スピーカーにおいて行われたか、消防局指令課は確認する必要があるのではないでしょうか。



問6)   Jアラートに対する防災危機管理局と消防局指令課との連携はどのようになっているのでしょうか。連携が不十分となれば、スイッチを切り忘れた個人のミスと言う事よりも、制度的組織的な対応に隙間があったと言うべきではないでしょうか。



問7)   放送設備に責任を持つ防災危機管理局の点検に、緊急放送に責任を持つ消防局指令課が立ち会う、つまり複数の目で、しかも役職的高さや複数の担当者の違う目で見る、対応する事が必要ではありませんか。



問8)   平常時に訓練放送が誤って放送されたことは、非常時に緊急放送が誤って放送されないことと同じ手順ではないかと思いますが、どのようにお考えですか。



問9)   防災行政無線は聞き取りにくいとの住民の声が多くあります。考えてみれば防災行政放送で内容を正確に伝達することは土台無理な事のようにも思います。
 先般も台風襲来での防災放送が頻繁に行われました。昨年冬の積雪による断水及び給水の連絡のための防災放送では市民の皆様が寒さのために家に閉じこもった状況で、防災放送が聞こえないとの苦情がございましたが、去る9月4日の放送では、思いがけず天気もさほど悪くはなく、屋外で多くの市民が防災放送を聞き、改めて、内容が聞き取り取り難いと苦情も多くありました。緊急情報の正確な伝達と言う事にどのような対策があるかお尋ねします。


問10)         緊急時はやはりラジオからの情報が有用であると思っていますが、江迎地区を始め、ラジオ電波が入りにくいラジオ難聴地区はほかにも市内に多数あると思いますので、その調査や改善策の検討もお願いしておきたいと思います。
 さて、今まで、8月5日に誤った防災行政無線の放送がなされたことを中心に質問をしてきましたが、その誤りにより見えてくるものがあります。一担当職員のミスの様で、実は組織や体制にその誤りの芽が潜んでいるのではないかと言う事です。
 平成24年8月の機構改革により、消防局内の防災対策課が市長部局の防災危機管理局となったと聞きました。その時に1名増員して、現在、7名体制ということです。消防局と組織が別になったことで、大きな器での人員の融通ができなくなり、一部に過度の業務がのしかかっていると言う事はないでしょうか。
 防災危機管理局は、災害から市民を守ることの中心となる部署です。「間違いました」ということが、もしかしたら、市民の生命にかかわる事態を生じさせる可能性もあります。
とはいえ、防災危機管理局の職員だけで本市の災害対策ができるとは思っておりません。やはり、消防局はもちろんのこと、市役所のほかの部署が協力・連携して災害対策を行ってこそ、佐世保市民の安全が確保されるものと考えます。最終責任者は市長であります。市長のご所見を伺います。

2016年11月21日月曜日

溝蓋議員と言う言葉がありますが




ミゾブタ議員という言葉があります。地域の道路側溝に「溝蓋をしなさい」的なことばかりに関心を持つ議員を揶揄する言葉、でしょうか。私は、そう言われても、いいかな、って思っています。
 ここは市の中心部から中山間地域に登る地域。道路が狭隘で、車の離合にも不便で、子供たちの通学道路ともなっています。一部には近隣の住民が木で応急に溝蓋を作っています。腐朽し踏み込んだら怪我はもちろん、事故につながります。
 議員がそれを指摘する、行政がそれを放置すれば事故発生に際し責任が問われます。すぐに対応していただき、このほど作業が完了しました。
 些細なことでも、と言うよりも、些細なことほど、重要な気がする、今日この頃です。




2016年10月21日金曜日

「農事組合法人りぞねっと」の米粉について 山形県真室川町

 山形県最上郡真室川町の「農事組合法人りぞねっと」を訪問し、代表理事齋藤孝幸氏と面談を行なった。「農事組合法人りぞねっと」は、国内産原料玄米から米粉製品をつくる一貫した製造後術と生産設備を有するコメの製粉加工メーカーである。平成18年、22年と二期に渡り総工費22,000万円をかけ施設、設備を整備しているが、その半額は国の補助によっている。


  米粉の研修を企画した意図は2018年産よりいわゆる減反政策の廃止が決定しており、今後の稲作のあり方についての展望を得たいがためである。基幹的農業従事者は200万人を切る状況となり、さらに高齢化が進んでいる。コメ生産は95%が兼業農家に支えられ、しかも高齢化の次の世代が兼業農家として米作を維持するかは、地域の現状を見ると厳しい状況である。つまり今後地域の水田が大量に作付されない状況が予想される。

 そうした農地は荒廃が進まないよう認定農業者や法人などに集約されることが必要である。集約された農地には転作作目が作付されるが、例えば大豆などの畑作作目は作業効率を高めるためにあえて水田を、勾配をつけてでも大面積の畑に改良するなどが、一部では行われている。しかし昨今の台風災害における畑地の土壌流出被害を見た時、作業効率向上の反面、国土保全の観点からの水田の機能を活かすことが重要である。

そこで今後兼業農家から吐き出されてくるかもしれない耕作放棄水田を活かすために、飼料米とともに米粉用米が必要ではないかとの考えの元、コメの大規模生産をするとともに、遊休農地の借り受けを行い、さらに米粉生産を行う「農事組合法人りぞねっと」への研修を行った。

 米を主食ご飯の米として大規模に効率的に生産すれば、価格の低下や過剰在庫の問題を引き起こす。ごはん以外の用途が必要である。

国内での穀物消費はご飯・パン・麺がそれぞれ三分の一ずつとなっている。米の消費を拡大するにはこの米の副食化やパン・麺へ用途を拡大することが必要である。つまり食の多様化への対応である。それが米粉であり、「卵・牛乳・小麦」は三大アレルゲンともなっておりグリテンフリーで、健康志向にも沿い将来的に有望である。ただ麺に加工する場合の「つなぎ」などのノウハウ。パンにする場合の日持ちの問題、さらに価格の問題と課題は多くすぐさま米を米粉にすれば問題は一気に解決すると言う事でもないようだ。今後は米粉の加工技術もさらに向上が求められる。

米粉こそ救世主、と思いつつも、現地調査を行ってみると、難しさがひしひしと伝わる。何事も一朝一夕には進まない。

2016年9月30日金曜日

議会費削減の取り組みについて(政務活動費の廃止等)

 視察した泉南市は人口62,500人、一般会計予算が234億円の市である。一般会計総収入に市税収入が占める割合が37.4%(佐世保市24。3%)、地方交付税が10.9%(同23.4%)となっており、自主財源が比較的に多い都市近郊の自治体である。関西国際空港の整備に伴い活況とその後の停滞があったようで、その際には財政も悪化し、視察時点での説明では、「一時の危機的状況を脱出したものの」と言う状況である。


 そうした中、まず第一弾として平成25年7月1日から平成29年10月の任期満了まで、議長・副議長・議員の報酬を6%減額する事とした。ちなみに市長は10%、副市長9%、教育長5%を平成24年4月1日から平成29年3月31日まで、給与減額を行っている。また政務活動費についても同時期に月額5万円から3万円へ、減額している。

 更に平成28年8月1日施行より議長513,000円(570,000円から6%減で538,000円、それをさらに減額と言う事)、副議長468,000円(同様に520,000488,000)、議員450,000円(500,000470,000)へ一時的ではなく恒久的に減額し、同時に政務活動費の制度そのものを廃止した。


 報酬6%削減における効果を2947万、政務活動費減額の効果を1440万円、とし、さらなる減額においては平成28年8月から平成32年10月までを試算し、報酬減額・政務活動費廃止により95,325,600円の効果としている。

 議長及び議運委員長の説明によれば、例えば学校へのエアコンの設置などの議会からの意見に対し行政側は財源がないなどに終始するために、先に議会が身を切ることによって政策の実現を迫ったという背景もあるようである。また第二弾の削減(政務活動費の廃止など)においては、この議案を提案したものの、通るとは思わなかった、との本音も語られた。


 さて、議員にとって報酬とは何であろうとの、永遠のテーマにつきあたる。限りなくゼロに近づける事を良しとするならば、議会経費は根本的には無駄な費用と言う事が前提になるのではないだろうか。私企業においてもガバナンスは強化する方向が趨勢である。ましてや税金・公金である。単年度あるいは数年度では経費削減としてとらえることができても、ガバナンスが強化されるという事が、長い目では健全で永続的で民主的ある。まして議会のガバナンスが欠如することによる失政や判断間違いで財政が危殆に瀕するという事で議会が責任を負うのは理解できるが、安易な削減は自己否定のような気がしないでもない。


 ここは議員としてのそれぞれの考え方である。私は当選した時の報酬等制度を一つの基準として、失政の一員である、あるいは社会経済状況の変化などにおいては減額も有り得ると考える。また一方、報酬が下がれば議員の生活ができない、若者が議員になれない、との意見には反対である。職業選択は自由である。第一に生活ができる職業を他に求めるべきである。貧しさや豊かさよりも使命感が勝るというのが若い政治を志す者の意義であり、自分の生活を考えるならば、でなければよいだけの事で、公に議論する必要もない。増額は、何か画期的事が生じ、増額する必要が生じない限り、増額する必要はない。


 「職業としての政治」と言うマックス・ウェーバーの本がある。職業政治家には二通りあり、それは「政治によって生きる方法」と「政治のために生きる」方法と述べている。一見「政治のために生きる」方法は美しい。ただし、では何によって生活をするのかという問題がある。職業としての政治、要するにプロの政治家である。小さな町や村の財政規模・行政活動に置いて、潤沢に生活ができるプロの政治家としての議員が必要かどうか、おのずと答えは出る。国のように大きくなれば、やはりプロが必要である。では佐世保市の市政においてはどうか。月額58万ほど、当然税金が引かれ、手取りは少なくなる。自分はプロの政治家である、プロとしてもっと報酬が必要である、要はそう言えるかどうかの問題である。


 政務活動費は月額5万円、会派によって管理されている。書籍やインターネットで調べた文献をプリントする費用などは政務活動費で当てられることは大変ありがたい事で、私はこれで一般質問をすることができている。更に会派などで行う行政視察はとても意義がある。

 議員報酬や政務活動費の問題、それは議員一人一人の哲学の問題である。

2016年7月27日水曜日

文教厚生委員会視察報告 28年7月 ③


岡山県岡山市



 AAA(アクティブ・エイジレス・アドバンスト)シティ岡山

〜岡山型持続可能な社会経済モデル構築総合特区〜



  岡山市では「高齢者が、介護が必要になっても慣れた地域で安心して暮らすことができる社会の構築」を基本コンセプトに平成25年2月に総合特区としての国の指定を受けた。在宅に特化した規制緩和等を11項目、国に提案している。その中心的な考えは、例えば要介護度3でデイサービスを利用し始め、それが要介護度4、さらに施設での介護へと進む従来の状況に対し、逆に要介護度3からデイサービスの利用によって要介護度1へと改善した場合、その改善にインセンティブを与えてはどうかというものである。しかし介護保険制度自体を変えることに国はたとえ特区ということでも良しとしなかった。

  そこで岡山市はデイサービス業者の評価システムを構築し、その評価に基づき奨励金を付与することにした。「デイサービス改善インセンティブ事業」として取り組まれ、平成27年度で153事業者が参加し、72事業所が指標を達成している。市のこの事業への予算は100万円で、上位12業者へ8万円(8万円×12業者=96万円)の報奨金が支払われた。

  ただこれは介護保険制度の変更ではなく特区としなければ取り組まれなかったことではない。岡山市としては国の仕組みを変えることができない中での、漸進策であったようである。その他では先進的な介護機器が利用できること、介護のポイント制、医療法人による配食サービスなどが取り組まれている。この中でポイント制は、要介護・要支援認定を受けていた方が、状態の改善により「非該当」となった方々が対象で、岡山市の場合その数が約5,500人、そのうち登録者が30名と言うことで、これも国に対し岡山市の意向を通すことができず、対象者が極力限定される制度設計がなされたためである。医療法人による配食も、その医療機関が直営では給食を運営していることが前提となっており、実数としての利用はごくわずかこの事である。

  全体的に特区として改善したいという岡山市の思いが、国の分厚い壁に跳ね返され、特区では無くても出来る事の範囲に抑え込まれた様な感じを受けた。それでも「介護サービス質の評価先行自治体検討協議会」を全国的に組織し、平成28年10月20日には岡山市において第3回の協議会が開催され、厚生労働省への政策提言がなされている。


2016年7月26日火曜日

文教厚生委員会視察報告 28年7月 ②

大阪府堺市



   子ども食堂モデル事業について



  堺市では家庭的な環境の中で食事をする機会の少ない子どもに対して、食事と居場所を提供する「子ども食堂」をモデル的に開催する事となり、まさに視察研修の前日の7月20日、第1回目が開催されている。メニューはカレーライス、11:30~13:30の時間帯で行われ、就学前38名、小学生8名、大人33名、合計79名の参加となっている。ただ貧困家庭という意味においては、その参加者は1割にも達していないのではないのかということであった。

  本来「子ども食堂」は子どもの貧困を背景として毎食きちんと食べることができない環境を強いられている子どもに対し、家庭的な環境で食事を提供する事を目的に、あくまでも民間のボランティアとして始まったものである。行政がどの様にかかわることができるかは、多くの議論を要することである。行政では生活困窮者支援のための事業はすでに存在しており、「子ども食堂」がモデル事業の期間の後、どの様に行われるのか、ただ堺市においては中学校区に1カ所、週に1回程度の開催を目標に、本格的に事業に取り組むとのことであった。

  今回のモデル事業は総額500万円で民間団体に委託され、3カ所月1回を3クルー行うこととなっている。内訳は子ども食堂の運営に300万円、事業報告書作成に200万円となっている。全中学校区にとなれば大きな財政負担となるが、自助、共助、公助の観点からすれば、費用対効果はどうなのかとの疑問は湧いてくる。

  子ども食堂、と言う表現である事により子どもが参加しやすいということではある様だが、本来こうした活動の必要な子どもの参加が少なく、子どもの貧困問題への明快な処方箋はない。私自身この「子ども食堂」をすべく検討しているので、行政がやるべきことは、こうした形での直営ではない様にも思える。行政でしかできないこと、行政の力添えがあればより効果的にできること、そうした事を検討していきたい。

2016年7月25日月曜日

文教厚生委員会視察報告 28年7月

福井県越前市
  児童養護施設「一陽」について

  武生市(合併により越前市)直営の児童養護施設の民営化方針を受け、指定管理者指定による経営を経て、その後、児童養護施設一陽が新設され事業がスタートした。市直営においては年間8000万円の市財政の負担が生じており、それが民営化検討の契機であるが、市直営児童養護施設で働く現場スタッフが社会福祉法人を設立し、市施設の指定管理から、独自の施設開設へと発展し、完全な民間の施設となっている。

  施設はRC3階建、敷地面積1298.99㎡、床面積1353.36㎡、施設定員40名、小舎ユニット制で常勤職員32名、非常勤職員6名で運営されている。職員は保育士や児童指導、心理療法などの専門知識を学んだ資格者で、さらにマネジメント能力が日常において育まれている。給与は全てオープンにしてあり、職員の採用は現場のスタッフが行うなど現場スタッフの働き安さが随所において探求されている。職場としての健全性を向上させる仕組み、スタッフのモチベーションを高める仕組みが、この施設の特徴である。

  こうした事から一陽は単なる児童養護施設に止まらず福祉のプロ集団として越前市の福祉施策も担っている。例えば生活困窮者支援事業また子育て支援事業を市から委託され、引きこもり学習支援などの活動を行っている。中でも「ブックスタート事業」はその事業を利用しない5%程の家庭を徹底訪問し、むしろこうした家庭こそ虐待やネグレクトなどの芽があるとの考えのもと事業展開されている。

  また市内の中学生に「赤ちゃんをだっこさせる事業」を他団体と共同して行い、命の大切さ、健全な母性の涵養が図られている。たくさんの母親と赤ちゃんを集める、これも容易なことではなく、一陽の活動が先行し市の福祉子育て政策を力強く牽引しているとさえ言える様である。

2016年7月8日金曜日

今時就活事情②

 どうにか、長男長女のW就活、終了の様である。これまでの高校や大学の受験に比しても、人生の大きな山であった。悲喜交々、筆記試験はクリアできても、なかなか数回の面接を突破し続ける事は難しい。社会に出るに際し改めて自己を見つめ、仕事観、を構築する。こんなことは二度としたくない、それが世の就活生のほとんどの気持ちだろう。親としても見るに、聞くに忍びない。ただ、振り替えればこの道、経験しなければならない道であったと思える。
 例えば「軸」がなければならない。金融を受け、商社を受け、メーカーを受ける、これはどこにも落ちるパターン。なぜを繰り返し、軸を鍛錬し強固にゆるぎないものにすることで、その軸が将来を切り開いていく。なぜこの会社か、そこでどんな仕事をしたいのか、それは何故か、それを繰り返す。軸と言う志を鍛えるのである。

2016年6月1日水曜日

今時就職事情


わが家にも二人の就活生がいる。長男は東京の私立大工学部4年、長女は地方国立大経済学部4年である。

 地方の大学は、生活費(特に住居費)は安く済むが、就活費用は交通費、滞在費などは日常の大学生活にプラスαして、随分とかかる。東京の大学であれば、就活も日常生活の延長に過ぎない。

 就職試験はSPI試験という統一した制度がある。希望の会社にエントリーし(エントリーシートを出す)、IDなどを得てSPI試験を受けるのだが、この結果は他の企業を受ける際にも使いまわしができる。結果は公表されないが、何回も受けることができる。しかし結果は常に上書きされ、前に受けた方の点数が良さそうである、となっても最新のものが結果となる。長男は就活に入った冒頭に、希望する会社と同じくらいの難易度の他の会社にエントリーしSPIを受け、そこを通過することでSPI試験の結果を判断し、希望の職種・企業で、試験を通過し、本日6が1日より、面接の開始である。

 今日は3社の面接があり、これが数日続くのだが、1次面接に通れば2次面接となり、それが他の企業と重複する様になり、どちらを取るか、運命の選択が日々続くようである。

 長女は数社エントリーし、その都度試験を受け、何社か面談をし、いよいよ面接が始まる。しかし、6月1日の就職解禁日の今日は大学の中間試験、らしい。

 地方国立大学と東京の大学における就活へのエネルギーの差を感じる。また情報量にも大きな違いがあるようだ。と、考えると、東京の大学の方が、人生と言う時間軸で考えると、コストパフォーマンスがいい様である。

 地方の大学が生き残る道、を考えてみる。まずはその地域の公務員、金融機関、地方有力企業、それらへの就職の道を確立する。そして長期留学経験者を増やし、大手企業に対してはその海外展開の人材となることで、都市部大学に伍していかなければならない。

 子供のおかげで、大学入試の事、そして今は就活事情、いろいろと勉強になる。