2018年12月11日火曜日

本会議主義と委員会主義


1210日、佐世保市議会本会議一般質問において、某議員より「市立学校エアコン設置について」が題材として取り上げられた。これは本12月議会の165号議案補正予算において次の内容で文教厚生委員会へ付託された案件である。
内容は教育費の補正として小学校施設整備事業として9,606万円、中学校施設整備事業として3,303万円、市立小中学校へのクーラー設置へ向けての調査である。
  委員会へ付託された案件に本会議の一般質問でどこまで踏み込むことができるのか、実は議会の根幹に関わる重要な問題なのである。これまでは当該議会において議案とされていることについては、一般質問などで踏み込んではならないと言う原則があったが、先般の議会運営委員会の申し合わせで、試行的に上程議案の事項についても一般質問事項として認める、と言うことになった。
一般質問後、あれはおかしいよね、などの意見が聞かれた。ザーッとした話ではなく、何がどうおかしいのか、法律や条例、議会規則など、原点に帰り意味を探究すれば自ずと答えは出ると思うのだが、なかなか本質的な議論が聞こえない。
  議案は本会議に上程され、行政の長:市長より提案理由が述べられる。それに対して必要であれば質疑が行われ、委員会へ審査が付託される。委員会においては審査・調査され、その経過および結果は委員長から本会議において報告される。この委員長の本会議における報告に対し必要であれば質疑および討論がなされ採決されることとなる。
本市議会にも「市議会会議規則」が定められている。その31条において議案は委員会に付託する、となっていることを考えれば本市議会では委員会主義を取っていると言うことができる。一般的には議員数が少なければ議案審議における本会議主義が成り立つが、本市のように定数33名の大所帯では7、8人ほどの少数の委員会においてじっくりと審査したほうが効率的である。「本会議主義と委員会主義」の委員会主義、と言う事になる。
 委員会に付託されると「委員会審査独立の原則」と言うものがあり、他からの干渉を受けず、その審査又は調査の終了をもって議題とすることになる。文教厚生委員会に付託した後、審査調査もなされない、結論を得る前、一般質問において深く入り込み当局が一定の回答を行う事は、内容によっては本市市議会の「委員会主義」と言う審議の基本が侵されることにならないか、憂慮される。
 委員会の決定が本会議において否定されることはあるが、本会議の内容を委員会において否定することができるのだろうか。一般質問においては発言者と当局の質疑応答であり、他者に意見を述べる術はない。空調機器導入の方法などで当局が意見を述べ、いわば出た答えに、委員会審議がさらに慎重審議をし、本会議での答えと違う回答を行政当局がすることができるだろうか。委員会審議を妨害した事にならないか、委員会審査の独立性が侵されたことにならないか、問題の本質はここにある。
 当該議会の上程議案についても一般質問として取り上げることはできる、と言う申し合わせも、あくまでもこの原則を冒さない範囲ではないだろうか。そのことへの注意のもとに質問がなされたのか、結果として委員会審議を形骸化させてしまったのか、文教厚生委員会はどのように対応するのか、しっかりとした考えを示してもらいたいものである。

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